こんにちは。企画制作の新倉です。
「新書で横浜」第6回。
今回の道案内はこの新書です。
「憲法の想像力」で注目された若手(1980年生まれ!)憲法学者が、高校生を相手に、法的思考のすばらしさを、小説仕立てで語ります。
赤い電車を降りると、急な坂を挟んで市立図書館と県立図書館がある港町。坂の向こうには入場無料の市立動物園。急坂を登り切ったところにある喫茶店「赤ひげ小人」で、高校2年生のキタムラ君とキヨミズ准教授が出会うところから、物語は始まります。
11月のある日の夕方、喫茶店「赤ひげ小人」を探すために、京急日ノ出町駅を降りました。井土ヶ谷から、エアポート急行に乗って一つめの駅です。
改札を出て左へ。「赤ひげ小人」を探し出すための聞き込みの第1ポイント、実名で登場する「市立図書館」に向かいます。
1、2分歩くと横浜市中央図書館の看板が迎えてくれます。正しくは「横浜市中央図書館」なんですね。吾妻印刷が黄金町にあった頃、昼休みによく利用しました。往復走って、滞在時間は18分。それでも必要な調べ物はちゃんと出来ました。図書館ってすごいなあ、と思ったものです。
ここが入口。入り口からまっすぐに歩いたところに相談コーナー。
そこで聞いてみました。
「この本に、市立図書館が出てきます。近くに「赤ひげ小人」という喫茶店があるというストーリーなんですが、なにかお心当たりはありませんか」
係の方は、とても親切に対応してくださいました。
「有名なカレー屋さんはありますが、喫茶店は…」
市立図書館では、「赤ひげ小人」につながる手がかりは見つかりませんでした。ちなみにこの新書はと訪ねると、あっという間に検索。
「中央図書館にはありませんが、磯子図書館にはあります」でした。
お礼を言って、次の聞き込みポイントへ向かいます。
市立図書館を出て、さらに急坂を登ります。
石垣に咲くのはヒメツルソバ。ヒマラヤ原産ですが、明治時代にロックガーデン用に導入された植物です。繁殖力の強さから、半ば野生化しています。
登り切ったところが紅葉坂との合流点。十字路を右に曲がるとランドマークタワーが仁王立ち。
途中、ちょっと不思議な銅像があったあのですが、時間がありません。先を急ぎます。
第2の聞き込みポイントは、やはり実名で登場する「県立図書館」。
県立図書館でも、これだという情報はありませんでしたが、係の方が、もしかしたらというお店を、周辺地図に書き込んでくれました。
「ちょっと離れていますが…」
「ありがとうございます。訪ねてみます」
この通りのどこかに、というお話だったのですが、それらしいお店は見つかりませんでした。残念。
日は暮れようとしています。
さて、どうするか。
思い切って、気になっていた、ある喫茶店に声を掛けてみることにしました。
県立図書館に行く前に見かけた小さな喫茶店です。
今日は早めの閉店で、というタイミングだったのですが、じゃあコーヒーでも飲んでいきますか、とシャッターを開けてくれました。
脱サラしたご主人とお二人で始めて14年目のお店。
カウンター席に座り、コーヒーが煎れ上がるのを待ちます。
静かな時間が流れています。
「図書館帰りの学生が立ち寄ることは…」
「ほとんどないですね。だから、ここがモデルということは、ちょっと考えられないです」
コーヒーカップの横には、ランチに付けているという小鉢が並びます。
すっきりした味わいのコーヒーといっしょに、おいしくいただきました。
小鉢はサービス。コーヒーは300円でした。
喫茶店「赤ひげ小人」は見つかりませんでしたが、親切な方に集中的に出会うことができた一日でした。
どこかでキヨミズ准教授に出会えたら、「いいお店紹介しますよ」と言いたい気分です。
帰りの日ノ出町駅前では、着ぐるみの一団が中島みゆきの「悪女」を歌っていました。
「悪女」には喫茶店が出てきます。小さなシンクロニシティに、思わず「いいね」。
これだから、町歩きはやめられません。
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