こんにちは。企画制作の新倉です。
「新書で横浜」第10回。
今回の道案内はこの新書です。
大江正章 著
「地域の力—食・農・まちづくり」
岩波新書
2008年
筆者によれば、本書は、
柔軟な感覚で魅力を発信している地域に学ぶ、
農山村を中心とした各地のルポルタージュです。
農山村の実践報告が中心ではありますが、
ユニークな商店街、復活した路面電車など、
都市の事例もいくつかあって、
最終章に横浜が登場します。
「日本第2の大都市・横浜市は、一般にはあまり知られていないが農業が盛んな都市だ。農地面積の割合は7.6%と練馬区とあまり変わらないが、農業総生産額は約99億円で神奈川県内トップクラス」(186ページ)
知りませんでした。
さらに、こんな記述も。
「農業専用区域は市内27地区、1,033ヘクタールが指定されており、横浜駅から直線距離でわずか4キロのところにもある」
3月のある日、
「わずか4キロのところにある」農業専用地域を訪ねてみました。
横浜駅から歩こうかとも思いましたが、
途中迷子になってもいけないので、相鉄に乗ります。
16号をしばらく歩くと、県道109号の起点「梅の木交差点」。左折します。
坂を登り切ると、いよいよ「農業専用地域」です。ここまで、西谷駅から35分。随分歩きました。
ここが、横浜駅から4キロの農業専用地域。見渡す限りのキャベツ畑。広い!
農作業の方に聞きました。
「春キャベツの収穫は終わったんですか」
「いや、これから。今植えているのが春キャベツ。収穫は5月だな」
おおいぬのふぐり、ほとけのざ、たねつけばな…。春の野の花も満開でした。
グーグルの空撮で見た「菅田・羽沢農業専用地域」。碁盤に目のように道路が走る、整備された農地です。
昭和40年代、東海道貨物線・羽沢(はざわ)操車場建設の際に出た大量の土砂がここに埋められました。土地改良区として整備され、「菅田・羽沢農業専用地域」は生まれたようです。
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第一次産業を大切にした「地域の力」というと、いきおい農山村での実践紹介となるのが定番ですが、本書は環境保全や教育・福祉の面からも、都市農業にも注目します。
横浜市には農業職という専門職(約70人!)があって、様々な農業政策が行われていることも、本書で知りました。
体験農園もそのひとつ。
横浜駅から一番近い田んぼが「な〜に谷っ戸ん田」。
田植えの頃、今度は横浜駅から歩いてみましょうか。
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